天然記念物「奈良のシカ」の保護と管理
~人と野生動物との適切な距離を探る~
天然記念物「奈良のシカ」
奈良公園およびその周辺に生息する野生のシカは春日大社の「神鹿」として古くから手厚く保護されてきました。
野生でありながら人と共存してきた歴史や文化的な価値から、国指定天然記念物「奈良のシカ」に指定されています。
「奈良のシカ」を取り巻く課題
なごやかに生活しているように見える「奈良のシカ」ですが、様々な課題をかかえています。
奈良公園では観光客の急増に伴い「奈良のシカ」と人との距離が非常に近くなっています。過剰な接触や不適切な給餌によりシカに噛まれたり叩かれたりする人身事故やシカの健康被害、奈良公園内道路でのシカとの交通事故が発生しています。また、主な餌となるシバ地や出産環境といった生息環境にも変化が見られます。このほか、奈良公園の外側の地域ではシカによる農作物被害が多く、農家との軋轢が生じています。

©奈良県
「保護計画」と「管理計画」の両輪による取り組み
このため、奈良県では「奈良のシカ保護管理計画検討委員会」を立ち上げ、各種対策を検討、実施してきました。天然記念物「奈良のシカ」の保護管理基準とその地区区分に基づき、保護地区では「天然記念物「奈良のシカ」保護計画」、管理地区では「奈良市ニホンジカ第二種特定鳥獣管理計画」を策定し、地区区分ごとに異なる課題に取り組んでいます。
計画に基づく各種対策とモニタリングによる評価
KANSOテクノスは、奈良県から2014年より「奈良のシカ保護管理計画検討業務委託(奈良の鹿保護育成事業)」を受託し、保護計画と管理計画に基づき、「奈良のシカ」の保護と管理の施策検討、実施の支援を行っています。
保護計画では、シカの生息状況調査のほか、人身事故や交通事故の発生状況の分析や対策の検討立案などを行っています。
管理計画では、被害防除のための防護柵の設計から施工を実施しています。また、その被害防除の効果検証について、農家へのヒアリングや現地確認に加え、捕獲結果及び被害状況アンケートの分析、生息密度調査等を行っています。
これらの取り組みについては、奈良県及び奈良のシカ保護管理計画検討委員会の有識者とともに評価を行い、次の計画に反映させています。
KANSOテクノスは鳥獣管理や獣害対策において、各種生息状況や被害状況の調査、対策の立案、計画策定等の様々な支援を行っています。
リーフレットもご参照ください。
獣害対策コンサルティング